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宿 -合縁奇縁

(2017-01-02)
こんにちは。数字上は1500記事です!

公開だけ先にして本文を後で書く、
というお行儀の悪い方法で書いちゃいました。
というのも、追記こそが本題であり、
それを書くのに時間がかかっちゃったからです。

今年初の、そして約2か月ぶりの【宿】です。
このブログの読者様にはそろそろお馴染みの、
夢言忘羊さんでコラボ(のようなもの)が始まりました。
同じ町に住んでいる、という設定なだけなので、
今後どうなるかは未定。

直接的な関係があるわけではありませんが、
同じ町の出来事なのかーと少しでも気になったら、
是非ご一読を。

【宿】シリーズ、今までのものはこちらからどうぞ。
宿 -雨宿り
宿 -愛煙消えん
宿 -蝉時雨
宿 -秋冷

一応、今回のお話は秋冷の続きになります。
タイトルは敢えて秋冷2ではなく合縁奇縁です。

改行は毎度お馴染み適当なので、
ご了承ください。



知らなかったと言えば嘘になるが、理解していたと言っても嘘になる。
中卒で就職をすることがこれ程までに大変だとは思っていなかった。
バイトすら中々決まらない。年齢制限に引っ掛かることも多く、
それをクリアしても高校生の方が優先される。
同じく年齢のせいで風俗などでも雇ってもらえない。
前途多難とはまさにこのことか。
私は、怪しげな金融の広告が貼られた電柱にもたれ掛かった。
電柱ですら電気供給と広告掲示の二つの仕事があるというのに、
全く私は電柱以下か。
「いや…私の背もたれという仕事も加えて三つか…多忙だな、君」
返事も文句も言わず、電柱は私を支え続けている。
「電柱に話しかけてる女の子発見」
金髪混じりの黒髪をオールバックにして、
ダークスーツに身を包んだ男が話しかけてきた。
切れ長の目をこちらに向け、黒い煙草を持ちながら、
黒い手袋をはめた手をひらひらと振っている。
黒い黒い言い過ぎてゲシュタルト崩壊を起こしそうになる。
「…薬ならやってないぞ」
「はは、俺は売人じゃないよ」
男は笑いながら、真っ黒な煙草を地面に落とした。
ポイ捨ては駄目だと注意するほど私は正義感に満ちてはいないので、
ただじっと主を失った煙草を見つめた。
視線の先は綺麗に磨かれた革靴に踏まれ、呼吸を止めた。
「じゃあ、何故私に声をかけた」
「電柱に声をかけるよりかは建設的だと思わないか?」
「そうだな、その通りだ」
私は電柱の仕事を一つ終わらせ、建設的な男に近づく。
あと半歩ほどで毛穴が見えるほどまで。
「電柱に話しかけちまう程度には悩みがあるんじゃないかって思ってな」
「仕事が無いんだ。何か私にできる仕事を教えてくれないか?」
スーツを着ているくらいだ、もしかすると何か斡旋してくれるかもしれない。
そんな淡い期待が無いといえば嘘になる。
「性別が俺と逆で、病気を持っていないのなら
…そうだな、その身だけで出来る仕事があるぞ」
「…なるほど、だが私は安くないぞ」
「いくらだ?」
「雨風を凌げる場所に、三食昼寝を付けてくれればいい」
「なるほど、確かに安くない」
男は笑いながら、私を天辺から爪先まで舐めるように眺めた。
市場で品定めされる魚のような気分だ。プロに競り落とされる魚と違って、
私には買われるほどの価値が果たしてあるのだろうか。
安くないぞ、と言っておいて今更恥ずかしくなってきた。
中卒の、電柱に話しかけてしまうような冴えない女に、
三食に昼寝なんて身の程知らずの身に余る贅沢なのではないだろうか。
「…最初で最後の忠告だ。考え直すなら今だし、
真っ当に生きたいなら俺とは会わなかったことにするべきだ」
「日が暮れるまで電柱と過ごして、
誰もいない家に帰るよりよっぽど良い」
私は男の手を握った。無骨で少し湿っている。
大人の手とはこんなに大きいものなのか、知らなかった。
「そういえば、名前は?」
「ツキ…モエ」
「モエちゃんか。俺はシニガミ、よろしくな」
お互い驚くほど適当な偽名を名乗り、
手を牽かれるがまま、私はシニガミの家へと向かった。

「大きくなっ…たか?あんまり変わってないか」
シニガミの声で、私の走馬灯擬きは途切れた。
久しぶりに会った親戚じゃあるまいし、
成長具合なんて確認しないでほしい。
「そういうお前も変わってないじゃないか、
その全身害虫みたいな色に野暮な顎髭とか」
「黒って言えよ…モエ」
「その偽名…よく覚えていたな」
「はぁっ!?偽名だったのか!?」
「お前だって本名を名乗ったことないだろう…」
というか気付いていなかったのか。
ツキモエなんて名前は、あの場で即興で考えたものだったのに。
言われるまで私も忘れていた。何か由来があった筈なのだが、
それも覚えていない。大したことでもないし、構わないか。
「まぁいいや、鍵を返しに来ただけだしな」
「…ここを出てから、何人の女と寝た?」
「嫉妬か?」
「うわっ…」
純粋に引いた。こんな男に手を牽かれた自分が、
惹かれていた自分が、なんだか恥ずかしく思えてきた。
若気の至りだったのだと自分に言い聞かせることにしよう。
そいつが聞き分けのいい女であることを祈る。
「正直に言うと誰とも寝ていない。
でも、もうお前とは寝られない。皮肉だよな」
シニガミは掠れ声で笑った。
その顔は、子どものようにも、老人のようにも見えた。
戻ってくれば良いだろう、と言って抱き締めても良いのに。
私は、何も言えなかった。あの時と違って、手を握ることも出来ない。
「用が済んだなら帰ってくれ、
もうお前と話すことなんて無いからな」
「わかってるよ」
シニガミは、床に横たわっているチョコレートコスモスを一輪拾い上げ、
スーツの胸ポケットに挿した。ゆっくりと革靴を履いて、
振り返らずに宿を後にした。
その背中にかける言葉も、やはり見つけられなかった。

少し短めですが、これでシニガミ来訪編は終わり。

本当に少しだけですが、
過去が明らかになりましたね。
シニガミがどういう人間なのか、
これも少しだけ触れられた気がします。

ツキモエは漢字で書くと多分、月・萌という名前なのでしょう。
本人は由来を忘却してしまったようなので、
読者様が予想するのも良いと思います。
因みに漢字とか関係ないしどうでもいいです。

余談ですが、シニガミの名前の由来は、
吸っている煙草の銘柄が『DEATH(デス)』だから。

これで最後の登場になるのか、
また出てくるのかは…気分次第(笑)

直接的な描写が無かったとはいえ、
完全に犯罪者だよコイツ…。

それでは~
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プロフィール

リューニャー

Author:リューニャー
メール:whale_in_the_cup?yahoo.co.jp
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生息地 北海道
職業  保育士
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読書とゲームが好きです
PSPo2iインフラは9月29日に終了しました。
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