宿 -秋冷

(2016-11-06)
こんにちは。今日は雪が少々。

積もりこそしませんでしたが、
札幌ではもう積もったようです。
それより寒い地域だと既に雪景色らしく、
事故も多いんだとか。

僕は冬に運転したことが無いので(公道は未経験)、
ちょっとドキドキですね。

さてさて。
今日もゲーム…と思わせておいて、
別にしてないです。自分でもビックリ。

今日は3か月ぶりに【宿】の続きです!
※【宿】…リューニャーが2、3か月に1回くらい書く、
小説のような何か。

自分ですぐに見返せるように、
雑記ではなく【宿】というカテゴリを作りました!

今までのお話はこちらから。
宿 -雨宿り
宿 -愛煙消えん
宿 -蝉時雨

今回も適当に改行するので、
読みにくかったらごめんなさい!



赤い壁紙と黄色い絨毯に模様替えをした街は、なんだかいつもより寂しそうに見えた。
夏より厚く、冬より薄い服に身を包み、適当に店を物色する。
買い物以外に外出することもないし、服は適当でもいい。
食べ物の好みも別段無いし、必ず買うのは珈琲くらいだ。
人に対しても物に対しても、何かにこだわるという気持ちが、私には欠けているのだろう。
「お、宿の姉さんじゃないすか!」
「ん?花屋か」
どうやら気付かぬ内に花屋の前に来ていたようだ。
この花屋の店員を、私は花屋と呼んでいる。捻りのない、そのままのあだ名だ。
二年ほど前から、月に数回は【宿】に来る常連だ。
実はリピーターというのは珍しく、今では花屋くらいしかいない。
「お買い物ですか?」
「あぁ、たまには買い物をしないと餓死してしまうからな」
「適当に食材を買っておけば、来た男が作ってくれたりするんじゃないすか?」
「そんな良い男は来ないよ」
それは俺にも言ってますよねー、と店先の花を霧吹きで濡らしながら、花屋は笑う。
花弁の上で水滴が静かに踊り、葉の上を伝い、受け皿に落ちる。
別に嫌味を言ったつもりは無かったのだが、
訂正する必要もないか。花屋が料理を作るわけではないから。
「そうだ、花持っていきます?って、買い物の途中だから邪魔になるか」
「いや、貰っておこう。おすすめはどれだ?」
「そーっすねぇ。秋なんでチョコレートコスモスとかどうっすか?このチョコみたいな色が普通のコスモスと違うところっすね!」
「因みに花言葉は?」
「ちょっと忘れちゃいました」
花言葉なんて別になんでも構わないのだが、なんとなく聞いてしまった。
見た目の美しさが変わるわけでもないのに。
人とは違って、花は内面なんて関係ない。その見た目に、心が動けばそれでいいのだ。
「いくらだ?」
「いいっすよーお金なんて。貴女が男に金を求めないのと同じで」
そう言いながら、花屋は慣れた手つきでチョコレートコスモスを花束にして、
プロポーズをするみたいに花束の先端を私に向けて、渡した。
ふわっと香る花の匂いに、少しだけ心が躍った。
「ありがとう。またいつでも遊びに来てくれ」
勿論、という彼の声を背中に受けながら、花屋を後にした。
次は食材でも買いに行こう。

食材を買い終え、ふと、自分ほど花の似合わない女はいないな、とガラスに映る自分を見て自嘲気味に思う。
この前来た不眠症の彼女を、私は女性らしいと感じたが、そんな自分との差異はなんなのだろう。
単純に生き方だろうか。個人差だろうか。…他人と比べたところで、何もわかりはしない。
解決もしない。私は私なのだ、花が似合わなかろうと、まともな女じゃなかろうと。
「しかし…」
久々に街に来たのにも関わらず、見覚えがある男が多い。
逆に言えば、この街の男たちは基本私を知っているだろう。
噂としか思っていない輩も少なからずいるだろうが。
どれだけ見覚えがあっても、かつての客でも、雑踏の中の他人に過ぎない。
どんなことを話して、どんなことをしたのかなんて基本的に覚えていない。
私が覚えているのは、あくまで顔くらいで、所詮はワン・ナイト・スタンド。
朝日が昇って、出ていけばもう他人になる。その場だけの、お互いにとって都合のいい他人に。
そうなれば、もう自分の中に何かが残ったりなんてしない。
酒よりも抜けやすくて、酒よりも酔えないものだ、男なんて。
そして自分もそう思われているに違いない。記憶にも思い出にも残さなくていい、
思いやる必要もない、使い捨ての道具とでも思われているのだろう。
それを悲しいとは思わない。長く続く関係ばかりが美しく尊いとは限らないからだ。
「お久しぶりです」
意識の外から急に声をかけられ、私は一瞬ビクッと体を震わせてしまった。
居眠りをしている時に、教師に教科書を読むように促された時みたいに。
「…すまない、誰だ?」
「あれ、忘れちゃいました?そりゃそうですよね、コンビニの店員が、一度しか来ていない客の顔なんて忘れちゃうのと一緒で…」
話を聞くと、去年の秋に一度だけ【宿】に来たらしい。
詳しく覚えていないのはいつものことだが、、顔は記憶しているはず…。
いつも私は、情けないくらい、顔ばかりを覚えている。
そんなに好きってわけではないのだが。
「私が顔を忘れるなんて、そんなことはあまり無いんだがな」
「あの時はマスクをしていて、金髪でしたよ」
「…思い出した。髪を染めたけどモテなくて、私のところに来たと言っていた男か」
「そうですそうです!」
そんな浅はかな思考をしていた男は、今は黒髪にしっかりとしたスーツ、
ネクタイの柄も大人しくて、しっかりとした社会人という風貌だ。
たった一年でも人はここまで変わるものなんだな。
私は何年かかっても変われない。浅はかなのはどっちだか。
「そっちの方がいいよ。ずっといい」
「気付かせてくれたのは貴女です。だから会ってお礼を言いたくて…」
【宿】に来ればいつでも会えるのに、と思ったが、
もう来れない理由があるのだろうと悟った。
ビデオ屋のアダルトコーナーみたいなもので、彼処に入るにはそれなりの勇気が必要だ。
しかもそれと比べると、他人に見られた時のリスクが段違いだ。
「見た目なんて気にするな、とか適当なアドバイスでもしていたか」
「いや、『それはお前じゃない』ってばっさり切り捨てられました」
彼は笑いながら、自分の前髪をくしゃくしゃと触る。
変身をしようと抗っていた自分をはっきりと否定されたのに、
それも全く知らない女に言われたのに、そのことを笑って話せるとは。
そしてそれを感謝しているなんて。酔狂な奴だ、と首を傾げる。
「私なら激昂して殴ってしまいそうな台詞だ」
「それこそ、初めて会った人間にそんなこと言えるなんて凄いなって。言う必要が無いじゃないですか、そいつがどんな格好でも、どれだけ滑稽でも。だから感謝しているんです」
どうやら、私はただの使い捨ての道具と思われるばかりではないらしい。
肉体以外のことで感謝されるなんて、一体いつ以来だろう。
「こちらこそありがとう」
私はチョコレートコスモスを一輪手渡し、
二度と会うことはないであろう彼に背を向け、帰路についた。
右手に花束と、左手に買い物袋を持って。

ぽつぽつと降りだした雨が、鼻先に当たる。
幸い、もう玄関に辿り着いたので、降られることはなかった。
折角の花が散るのを避けられて良かった。
ポケットから鍵を取り出し、ギザギザを上にして、鍵穴に挿し込む。
左に回そうとすると、違和感に気付いた。鍵がかかっていない。
まさか忘れていたのだろうか。たまにしか外出をしない私なら、あり得なくもない。
鍵を引き抜き、ゆっくりと、慎重にドアを開けた。
私を出迎えたのは、荒れた室内…ではなく、煙草の煙だった。
まさか空き巣が一服しているのだろうか。…いや、この匂いを私は知っている。
買い物袋をその場に置き、急いでリビングに向かうと、
ソファに腰をかけて、煙草を燻らせている男がいた。
金髪混じりの黒髪をオールバックにして、ダークスーツに身を包んでいる。
右耳には髑髏のピアスを着けていて、顎髭を蓄えている。
切れ長の目をこちらに向け、黒い手袋をはめた手を、呆然としている私にひらひらと振った。
「…シニガミ?」
私の手から落ちた花束は、ほんの少しだけ花弁を撒き散らして、
冷えたフローリングに落下した。真っ黒な煙草から吐き出される煙が、私と彼の間を歪ませる。
「おかえり。鍵を返すのを忘れていたのを思い出してな」
シニガミは煙草をくわえたまま、私に向かって歩き出す。
かつて毎日嗅いでいた煙草の匂いが、シニガミの匂いが、私を襲う。
私を私たらしめた男が、私をこんな私にした男が、静かに笑う。
言葉を発することすらできない私は、走馬灯のように過去を思い出すことしかできなかった。

―後で知ったことなのだが、チョコレートコスモスの花言葉は『恋の思い出』だそうだ。

はい。彼女も外出はするよってお話でした。

相変わらず自嘲気味というか、
蝉時雨ではそこそこ自信がついたっぽかったのに、
やはり人は簡単には変われないんですかね。

最終回に向かっている…というわけではなく、
今のところ終わらせるつもりはありません。

このシニガミの登場が、
ターニングポイントになると良いなぁ。

今年中にあと1回は書きたいね。
感想待ってまーす…と思ったけど、
今回は繋ぎっぽい内容だからあんま感想無さそう。
次回に乞うご期待っすね!

それでは~
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プロフィール

リューニャー

Author:リューニャー
メール:whale_in_the_cup?yahoo.co.jp
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生息地 北海道
職業  保育士
性別  男(21歳)
読書とゲームが好きです
PSPo2iインフラは9月29日に終了しました。
PSO2 シップ1
漫画冊数:1338冊
Twitterやってます。
→@mukootoaoto(ブログ更新情報も見れるよ!)

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